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ライターが書く原稿は、その多くがクライアントの思いをかたちにしたものです。
「こんなお悩みを持つ人に当社の商品を使ってほしい!」「自慢の商品をぜひ一度お試しいただきたい!」
そんな思いを、ターゲットにしっかり伝えるために、どんなコピーがいいか、どんな情報を載せたらいいかを考えます。

ここで気をつけないといけないのが、「言ってはいけない」こともある、ということ。
ライターをとりまくさまざまなルールの中から、今回は化粧品の例を紹介します。

なんで「言ってはいけない」の?

化粧品のコピーを書く際には、「化粧品等の適正広告ガイドライン」というルールがあります。

■日本化粧品工業会
https://www.jcia.org/user/business/advertising/

簡単に言うと「○○に効果がある」と言っていいかどうか、ということ。言ってはいけない理由は、「消費者に誤解を与えかねないから」です。

化粧品等の広告は、その商品特性から、内容、表現方法の適否が消費者の適正な商品選択に対して重要な意味合いをもってくるために、虚偽・誇大とならない事実に基づいた適正な情報の提供が行われるよう、(中略)広告に携わる全ての人が守らなければならない内容が示されています。 ※2020年版「はじめに」より

たとえば、美容液などのスキンケア商品に「くすみが消える!」なんてコピーがついていたら、くすみでお悩みの人にはとっても魅力的ですよね。
でも「消える」って、くすみができる前の肌に戻るということ? くすみの原因はいろいろあるけど、どんなくすみにも効くのかしら? いろいろ考えると、とても「消える!」なんて断言できません。

断言できないことは言っちゃダメ。でないと商品を買った人に「だまされた」と思われてしまうから。
ごくごく当たり前のことですが、エンドユーザーにもクライアントにも誠実であるために、忘れてはいけないことです。

逆に「言わないといけない」こともある

では、くすみで悩んでいる人をターゲットにした商品には、どんなコピーを書いたらいいのでしょう。
「化粧品等の適正広告ガイドライン」を開いてみると、くすみ、美白、肌の疲れ、毛髪の損傷、エイジングケアなど、さまざまな例について、OK例とNG例が書かれています。
くすみに関する表現例はこちら。

メーキャップ効果に関すること以外の「くすみ」に関する表現は、化粧品の効能効果の範囲を逸脱するかのような誤認を与えるため表現できない。ただし、くすんで見える要因を以下のように明確にし、化粧品の効能効果の範囲を逸脱しない「くすみ」表現は可能である。

① 汚れの蓄積によるもの
② 乾燥によるもの
③ 古い角質層によるもの

[認められる表現の例]
乾燥によってくすんでみえる肌にうるおいを与え明るい印象へ導く
くすみのもとになる古い角質層による汚れを洗い流す。

※2020年版「第3章 表現ガイドライン」より

うーん……どうにも説明くさいですね。しかし商品についてきちんと説明しないと、誤解を与えてしまうのも確か。
言うべきこと、言ってはいけないこと、クライアントが言いたいこと。それぞれをきちんと把握して、落としどころを探りながら、エンドユーザーに正しい情報がバシッと伝わるコピーを考えていきます。

コピーは「ことば」のみにあらず

あれこれ細かくルールがあるなら、誰が書いても似たコピーになるんじゃない? そう思う人もいるかもしれません。
どこまで似てくるか検証したことはありませんが、化粧品以外の商品と比べて、ことばの自由度が低いのは確かでしょう。(医薬品やサプリメントは、同じかそれ以上にルールが厳しいですが。)
ですがコピーは、「ことば」だけでできているのではありません。そのことばにぴったりの「デザイン」に落とし込んでこそ、見る人の目を引き、商品を手に取らせる力を発揮するもの。
コピーを書いたら終わりではなく、どんな紙面に、webページに仕上げるのか、デザイナーなどと一緒になって考えていきます。

ライターはことばのプロなので、こうしたルールはしっかり押さえておくべきですが、クリエイティブの幅を広げるのはむしろ、ことば以外の知識や経験なのかも、と思います。

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