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取材は、ライターという仕事の醍醐味のひとつ。プライベートではなかなか出会う機会のない人に話が聞ける、行かない場所に行ける、ふつうなら見られないところも特別に見せてもらえるかも!?企画段階からワクワクします。 そのワクワクがちゃんと読者に伝わって、「実際に見てみたい!」「行ってみたい!」と思ってもらえる記事を書くには? 私は、ふたつのことを意識するようにしています。

“興味・関心”をもって情報を拾い集める

人から話を聞くインタビューと違って、取材は人・物・事のすべてが対象です。当然ながら物・事は、人と違ってしゃべりません。向こうから原稿を書くための情報を提供してくれるわけではないのです(インタビューだって話を聞き出すスキルは必要ですが)。

同じ物・事であっても、人によって見るところも考えることも違います。例えば色とりどりの花を生けた花瓶があったとして、多くの人はまず花瓶より花に目がいくでしょう。でも、どんな種類の花があるか、配色のバランスはどうか、どんな技巧をこらして生けているか……その人の興味・関心によって、気になるポイントは違います。逆にたいして興味・関心のない人は「きれいな花だなあ」という感想だけで終わってしまうでしょう。

取材をするときは、この興味・関心をフルに働かせて、できるだけ多くの情報を拾い集めるよう意識しています。「きれいな花だなあ」という感想しかなかったら、記事にもそれ以上のことは書けませんから。

興味・関心を刺激するために必要なのは、取材の前にしっかりと下調べをしておくこと。例えば一輪の紫色の花を目の前にして、まったく何も知らなかったら「きれいな紫色の花だな」で終わりです。でも「この品種で紫色は珍しい」という知識があったら、「どのくらいの時間をかけて品種改良したんだろう」「紫の花って人気があるのかな」など、いろんなことが気になってきます。

また、読者の視点に立って考えてみるのもアリです。その花について記事を書くのが女性誌の園芸コラムなのか、農家向けの業界誌なのかで、読者が求めている情報はぜんぜん違います。読者が何を知りたいか、頭の中で疑問リストを作っておいて、それを埋めるように情報を集めていくのです。 情報は、記事の材料です。食材が足りなかったり質が悪かったりしたら料理の味が落ちるように、情報の量と質は記事の仕上がりに直結します。

“五感”を通して情報をアウトプットする

できるだけ多くの情報を集めたら、記事を書く媒体に合わせて情報を取捨選択し、原稿に落とし込んでいきます。ただし、情報をそのまま並べるだけにならないように要注意。「実際に見てみたい!」「行ってみたい!」と思われる記事にするには、書き手のワクワクもしっかり原稿に盛り込まないといけません。

例えば桜の名所を記事にするとして、見ごろはいつ、桜の木は何本、花見客は何百人……なんていうのは単なる情報。誰にでも書ける紹介文です。

行ったからこそ拾える情報を、書き手の五感を通してアウトプットしないと、ワクワクは伝わりません。花びらの色、近づいたときの香り、触れた花びらの感触、その木に目を向ける人々の様子……そうした、実感のある情報を積み重ねることで、臨場感が生まれ、書き手が見た情景を読者にも想像させるのです。 私は情報を取捨選択する際、自分の五感と照らし合わせるようにしています。ありありと思い出せる感覚があれば、それが取材のなかで大きく印象に残ったもの。それを記事に落とし込めたら、書き手のワクワクが伝わる記事になるはずです。

セミナー抄録 第1回「メールマーケティングはオワコンか?」
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