ノース・ヒルでは、毎月1回、デジタルマーケティングの専門家、 田実 日出翁先生をお招きし、社内セミナーを開催しています。
スタッフのデジタルマーケティングのレベルを高めることを目的に、 毎月テーマを変えて、仕事に役立つ情報を提供しています。
基礎知識から応用・実践編まで、さまざまな内容で展開。 (もうかれこれ40回近くやってます!)
今月のテーマは「メールマーケティング」。「もう古い?オワコンでしょ?」と思われがちな販促手法ですが、セミナーを通して、新たな価値の発見がありました。
私の独断と偏見の感想をはさみながらレポートします。
メールマーケティングはオワコンか?

SNSやLINE、YouTubeなど新しいコミュニケーションの隆盛時代、メールでのコミュニケーションは、もはや、過去の産物なのか?
田実先生は言います。 「消費者と、ほどよい距離感が保てるツールとして、その価値が再発見されている」と。
ふむふむ。
低コストで始められる割に、送る相手と“ゆるい”繋がりを持つことができ、押し付けがましくない点が見直されている理由のようです。確実なコンバージョンを目指すコミュニケーション手段というよりは、 “ほどよく”“ゆるい”というのがポイントかもしれません。
確かに自分自身も20件くらいwebマーケや広告企画に関するメルマガを取っていますが、 基本的にはメールの件名を読み流しながら、気になったものだけ開封するといった使い方をしています。腰を据えて読む、というよりは、ザッピング読みしている感覚です。
メールマーケティングの誤解

メールマーケティングを行う上で、よく勘違いされている点について 田実先生からいくつか説明がありました。
- 配信頻度を高くすると嫌がられて解除される、とはいえない。
- 送るタイミングを吟味して読まれるときに送る、とはいえない。
- いいコンテンツをつくれば読んでもらえる、とはいえない。
- 読みものではなく、サイトに訪れるきっかけとして設計すること。
- ターゲティングは細かい方がいい、とはいえない。
- 目立つタイトルにしたほうがいい、とはいえない。
一見すると、狙って読んでもらうものではなく、運が良ければ読んでもらえるものといった印象です。気合の入ったコミュニケーションというよりは、日常の軽いご挨拶といった感覚でしょうか。
長期的にゆる~い関係を保ちながら、時にビシっと決め球を織り交ぜながらお客様の心に響くものをお届けできれば良いのかもしれません。
他にもセミナーでは、「メールマーケティング成功のポイント」や「成功事例の紹介」など、具体的な事例を用いた解説があり、今後のクライアントへの提案に役立つ内容でした。
次の時代のメールマーケティング

先日Chat-GPT4リリースの発表がありました。
質問や指示を出すと、一瞬でテキスト情報を作ってくれます。今後、人工知能が書いた情報が世の中に溢れてくることは間違いありません。きっとメールマガジンも人工知能があっという間に作成しMAツールと連動させるような仕組みが実装されるでしょう。
そのような中、価値のあるメールマガジンとは一体どんなものなのか。 ここからは個人的な見解です。
人工知能が、情報を最適化していくため、もしかしたら似たような情報で溢れかえるかもしれません。今まで以上に情報が増えるため、どこかで聞いたことのある内容は、 これまで以上に無価値化し淘汰されるのではないでしょうか。
今でさえ「この記事の内容、どこかで見たことあるなあ」と感じてしまうことが多々あります。
そんな中で、極めて独自性の高い情報が重宝される可能性が高いです。その人にしか書けない、原体験に基づいた、非常に解像度の高い情報です。さらにメールはSEOを考慮しなくてもよいので、 文体や内容において、個性を出しやすいツールと言えます。
もう1つは、「何」を書いたかではなく、「誰」が書いたか、 ということが重要視されるのではないか、と考えます。
最近は、個の時代と言われています。1人のインフルエンサーにファンが付き、 その影響力を活かしたマーケティングの成功事例が出てきています。
この流れは一層加速し、書き手のファンとして、情報を取得するのではないかと考えます。書き手に感情移入できるから読む、内容は二の次。お役立ち情報を収集する目的というよりは、書き手との一体感を求めるイメージです。 1企業の担当者にもファンが付く時代がくるのでは、と思います。
例えば最近ではNFTが注目を集めていますが、デジタル資産という概念が世の中に浸透した時に、 独自性の高いオリジナルの情報は大きな価値を持つのかもしれません。
<田実先生プロフィール>
田実 日出翁(たじつ ひでお)
ウェブ解析士マスター。総合広告代理店で約30年もマスマーケティングとWebマーケティングのプランナーとして従事し、2018年ウェブアクセル合同会社を創業。マスとWebの両方に通じているマーケティングプランナーとして、「お客様の成果にコミットする」をモットーに、戦略立案から制作・運用・解析、人材育成まで幅広く活動。大手広告代理店や大手新聞社など、数多くの企業でセミナー講師を務めている。ノース・ヒル顧問。