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ノース・ヒルでは、毎月1回、デジタルマーケティングの専門家、田実 日出翁先生をお招きし、社内セミナーを開催しています。

スタッフのデジタルマーケティングのレベルを高めることを目的に、毎月テーマを変えて、仕事に役立つ情報を提供しています。

今月のテーマは「BIツールLooker Studio(ルッカースタジオ)」。BIツールって何?というスタッフ向けにも、基礎からセミナーは展開されました。

Looker Studioのメリットとデメリット

Looker Studioとは、Googleアナリティクスなどのレポート作成やモニタリングを自動化する、Googleが提供する無料のBIツールです。

BIツールというのは、ビジネスインテリジェンスツールの略で、さまざまなデータを分析・見える化し、経営や業務に役立てるソフトウェアのことです。

タブローやDomoなど、大企業向けの高価なBIツールが有名ですね。

では、2016年リリース以降、誰でも使えるBIツールとして世界的に人気となった「Looker Studio」は、どんなことができるのか、どういう風に使うと便利なのか。今回のセミナーで田実先生に解説いただきました。

まずメリット・デメリットのお話がありました。

Looker Studioのメリット

・無料で分かりやすいダッシュボードが作成できる

・400種類以上のコネクタで様々なデータと接続できる

・メール自動送信やPDFダウンロードなど様々な方法で共有可能

Looker Studioのデメリット

・動作が重くなることがある。

・API割り当て上限によるデータセットの設定エラー

・GA4より使えるディメンションや指標が少ない

・ディメンションや指標の名称がGA4と異なる

ふむふむ。

まず大前提として、無料とは思えないほど、高機能なサービスであることは間違いありません。一方で、データが重く動きが悪い点や、GA4と比較してディメンションや指標の名称・数が異なり、使いにくい面もあるようです。

メリットとしては、データが表示されるダッシュボードを自在に見やすくカスタマイズできます。例えば、データの性質に合わせて、円グラフや折れ線グラフ、棒グラフなど作成できたり、独自の指標を抽出してデータを取得するなど、その会社に合わせたデータにカスタマイズすることができます。一度ダッシュボードを作成すれば、その後は自動更新されるため、データ管理担当者にとってはうれしいツールです。

また、さまざまなツールでデータを収集している場合、一元管理が可能になります。

Googleアナリティクスや、サーチコンソール、Google広告など、Google系のサービスだけでなく、Facebook広告・Yahoo広告などの広告データ、InstagramやTwitterなどのSNSデータなどとも接続することができ、Looker Studioだけで一元管理できます。さらにURLを共有するだけで、誰でも最新のデータにアクセスすることができ、関係者でのデータ共有の手間がなくなります。

Looker Studioの導入方法とよく使う機能

Looker Studioの導入から、各種機能の紹介まで、田実先生から、実演を見せていただきながら解説いただきました。

データソースの作成や、レポートの作成、スコアカードの追加など、便利な使い方をひと通り学び、さらに、データ閲覧画面を見やすいようにレイアウトやカラーをカスタマイズする実演など、使いやすいツールであることは理解しました。

他にも、オリジナルの計算指標の作り方や、二軸グラフの作成など、高度な使い方についても実演いただき、今後データの共有や分析の際に役立つ内容でした。

データの可視化が生み出す2つの未来

そもそも、データを可視化するメリットって、何なのでしょうか。

ここからは個人的な見解です。

よく言われるのが、データの可視化によって、情報の把握や分析が迅速にできるようになり、ビジネスにおける意思決定のスピードを高め、仕事の生産性が上がること。確かにデータ分析とデータの可視化は、ビジネスの意思決定や戦略立案に欠かせないプロセスです。

もう1つ重要だと思うのが、データを扱う専門家でない人でも、視覚的にわかりやすいグラフなどで表現されていると、データを読み解くことが容易になり、分析結果を明確に伝えることができ、部門間の情報共有もスムーズになる点でしょう。

また、このデータの取り扱いが民主化することに関しては、仕事に関する影響だけでなく、社会に対する影響も大きいのではないかと考えています。

環境問題や社会問題、経済問題など、人々に対してわかりやすくデータが可視化されていると、理解と関心を高め、問題解決に向けた取り組みが促進されるでしょう。

例えばSDGsに関連するデータを可視化することで、進捗状況や課題が明確になり、効果的な施策が立案されやすくなります。また障害者や高齢者、マイノリティなど、社会的に不利な立場にある人々のニーズや問題点をデータ化し、可視化することで、これらの課題への理解が深まり、適切な支援策が実施されやすくなるでしょう。

可視化には社会的な観点からも大きな意味があると考えます。

一方で、データの質に関する懸念があります。

不正確や偏ったデータが可視化されると、誤った情報が広まり、社会に対して悪影響を与える可能性があります。データの質が保証されない場合、データの可視化はむしろ誤解を招くことになります。

また、データの可視化によって、情報が容易にアクセス可能になる一方で、過剰な情報が提供されます。すると、人々が重要な情報を見極めるのが困難になる場合も出てくるのではないでしょうか。情報過多により、重要な課題や施策が埋もれ、適切な対策がとれなくなる可能性もあります。

さらに、データに基づいた意思決定が過度に重視されることで、人間の直感や経験、感性が無視される傾向が強まります。多様な視点や意見が排除され、持続可能な社会に関する問題解決が難しくなる場合もあるでしょう。

オンライン空間の発展などで、今後いろいろなものがデジタルデータに変換され、データは私たちの日常と密接に関連してくると予想しています。

データ分析やデータの可視化が、様々なツールによって民主化すれば、仕事や生活が便利になる一方で、ネガティブな面もあります。いい未来を生み出すのか、悪い影響をもたらすのか、まだまだ課題はありますが、今を生きる私たちの知恵と倫理観が重要になるのではないでしょうか。

<田実先生プロフィール>
田実 日出翁(たじつ ひでお)
ウェブ解析士マスター。総合広告代理店で約30年もマスマーケティングとWebマーケティングのプランナーとして従事し、2018年ウェブアクセル合同会社を創業。マスとWebの両方に通じているマーケティングプランナーとして、「お客様の成果にコミットする」をモットーに、戦略立案から制作・運用・解析、人材育成まで幅広く活動。大手広告代理店や大手新聞社など、数多くの企業でセミナー講師を務めている。ノース・ヒル顧問。

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