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ノース・ヒルでは、毎月1回、デジタルマーケティングの専門家、田実 日出翁先生をお招きし、社内セミナーを開催しています。

スタッフのデジタルマーケティングのレベルを高めることを目的に、毎月テーマを変えて、仕事に役立つ情報を提供しています。

今月のテーマは「コンバージョン最適化について(前編)」。今回は2か月に渡って、同じテーマでセミナーをしていただきます。

意外と知らないコンバージョンの定義

「コンバージョン」という言葉は、WEB業界にいればよく耳にする言葉だと思います。

「ユーザーがECサイトで何かを購入したことでしょ?」「サービスサイトで何かの資料をダウンロードしたことでしょ?」…と、ユーザーの行動のみを考えがち。

しかし、それだけではないと田実先生は説明します。

コンバージョンは、サイトがうまく機能しているかどうかの目安となるため、具体的にどの行動をコンバージョンに設定するか、はっきりさせることが大切と説明がありました。

だから「コンバージョン」と定義できるのは “数値として計測可能な行動”。数値として計測できないと、すべてが曖昧になり次のPDCAサイクルが回らなくなります。

さらに、コンバージョンは一回きりの行動だけでなく、サイト訪問者が少しずつお客様になるまでの一連の流れも大事です。

例えば、最初に資料をダウンロードして、その後で商品を買う、というような段階的な流れを理解した上で、サイト改善策を打ち出すのが効果的と話がありました。

さらにサイトのタイプによってもコンバージョンの設定は異なります。

例えば、単品系ECサイト、総合系(型番販売)ECサイト、予約系サイト、資料請求系サイト、サブスク系サイト、企業ブランドサイトと、それぞれの特性を理解した上でコンバージョンを定義する必要があるようです。

木も見て森も見るコンバージョン改善策

田実先生は言います。「コンバージョンの改善策を考える場合、 “広義のコンバージョン改善”と“狭義のコンバージョン改善”の両軸で考えることが重要である」と。

広義?狭義?

あまり聞きなれない言葉だったのですが、説明を聞くと「確かに!」と理解できました。

狭義と広義のコンバージョンに関して要約すると、下記のようになります。

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●狭義のコンバージョン改善

・ネット広告のクリエイティブや媒体の最適化

・LPの最適化

・導線の最適化

・フォームの最適化

・カート離脱率の改善 など

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これはつい先に考えてしまいそうな施策ですね。いわゆる“戦術”部分でしょうか。

一方で、

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●広義のコンバージョン改善

・なぜこの(狭義の)コンバージョン改善を行うのか

・コンバージョンの改善によって何を目指すのか

・結果を踏まえて、次に何を行うのか

・そもそも、マーケティング活動は今のままでいいのか など

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こちらは視座を1段階高めたようなコンバージョンの捉え方です。いわゆる“戦略”部分でしょうか。

「狭義」のコンバージョン改善だけ考えると「木を見て森を見ず」という事態に陥りがち。

例えば、バナーのクリック率(以下CTR)を上げるべくABテストをくり返していたが、そもそも遷移先ページのコンテンツがイマイチなので、CTRを上げてもコンバージョンに繋がらなかったなどの失敗も…。

思考のレイヤーを1つ上げて、戦略をまず考えて、戦術に落とし込むことで、本質的なコンバージョンの改善策が実現できる、といった意味で理解しました。

コンバージョン改善の3つのプロセス

では、ここまでを踏まえて、どう具体的にコンバージョンを改善していくとよいのか。

コンバージョン改善は「仮説検証のくり返しによる学習のサイクル。当てずっぽうではいけない」と田実先生は話します。

コンバージョン改善に取り組む場合、3つのレイヤーを意識して取り組むことが重要であると説明がありました。

3つとは、①課題発見レイヤー、②施策検討レイヤー、③最適化レイヤー。

それぞれのレイヤーで、重視しなければいけないことと具体的な方法について説明がありました。ポイントについては、下記に簡単に要約します。

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  • 課題発見レイヤー:課題を選定する

<重要な視点>

・目的達成のための構造はどのようになっているか(KPIツリー)

・解決すべき課題には何があるか

・優先度の高い課題は何か

※KPIツリーは課題洗い出しの起点になるので、精度が低いとその後に行うことのすべての精度が低くなる

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  • 施策検討レイヤー:施策を考え実施する

<重要な視点>

・選定した課題がどのような要因で発生しているのかを、主にデータ分析から考える

・要因がわかれば、その対処のための施策は何かを考え施策候補を洗い出す

・施策の候補を洗い出せば、費用対効果をもとに優先度をつけ、実施する施策を決める

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  • 最適化レイヤー:施策検討レイヤーで実施した施策自体を最適化する

<重要な視点>

・より最適化できる施策に何があるか

・各施策の優先度はどうか(どの施策から最適化するか)

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またその他、課題発見レイヤーにおいて重要な役割を果たす「KPIツリーの具体的な設定ポイント」や、「Webビジネス別のKPI」などについてセミナーが展開されました。

今回のセミナーも、お客様のサイトのコンバージョンアップに貢献するために非常に実用的な内容でした。今後の施策提案に活かしていきたいと思います。

次月は後編をお届けします。お楽しみに!

<田実先生プロフィール>
田実 日出翁(たじつ ひでお)
ウェブ解析士マスター。総合広告代理店で約30年もマスマーケティングとWebマーケティングのプランナーとして従事し、2018年ウェブアクセル合同会社を創業。マスとWebの両方に通じているマーケティングプランナーとして、「お客様の成果にコミットする」をモットーに、戦略立案から制作・運用・解析、人材育成まで幅広く活動。大手広告代理店や大手新聞社など、数多くの企業でセミナー講師を務めている。ノース・ヒル顧問。

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