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ノース・ヒルでは、毎月1回、 デジタルマーケティングの専門家、 
田実 日出翁先生をお招きし、社内セミナーを開催しています。 

スタッフのデジタルマーケティングのレベルを高めることを目的に、
毎月テーマを変えて、仕事に役立つ情報を提供しています。 

今月のテーマは先月から引き続き「コンバージョン最適化について(後編)」です。 

サイトの課題を発見する時に大切な考え方

前回のセミナーでコンバージョンを最適化するための考え方として
「課題発見レイヤー」「施策検討レイヤー」「最適化レイヤー」があるというお話がありました。

▼参考:前回の記事
セミナー抄録 第3回「コンバージョン最適化について(前編)」

今回のセミナーでは、その続きです。

まず、どのようにサイトの課題を発見すればよいのでしょうか?
田実先生は課題を見つける時に重要なポイントが2つあると説明がありました。

①インパクト
②コスト

①インパクトとは、その課題を解決した時にどのくらい効果・影響が見込めるか。
②コストとは、課題を解決するために、どのくらいの時間やお金、人的リソースがかかるかということ。

これらのバランスを見ながら、最も優先して解決すべき課題を見つけることが重要だとお話がありました。つまりインパクトがあっても、コストがすごくかる場合や、コストは少ないがインパクトも少ない場合なども、得策ではないことになります。

次に課題の探し方ですが、具体的には3つの方法を教えていただきました。

①KPIツリー
②カスタマージャーニー
③GA4のプロセスレポート

①KPIツリーでは、KPIを細かく分類しツリー構造に整理することで、どの部分にボトルネックがあるかを見つけ出す方法です。

②カスタマージャーニーは、ユーザーが行動を起こす時には、何か心理的な障壁を乗り越えて、次の行動へと移していきます。
例えば、新規でサイトに来たユーザーが、いきなり何か健康食品などを購入して、定期購入をすぐに決断するかと言えば、そう簡単なことではありません。
新規サイト訪問 → サイト内回遊 → カートに入れる → 購入 → リピートと
段階を経て、優良顧客へと成長します。
各フェーズでどのような情報をユーザーに提供できれば安心して次のフェーズに移行するか、また逆に、次の行動へ移さない心理的障壁になっているものは何かを考えて、解決する情報を提供することが、ユーザーを育てる上で大切なことになります。

③GA4を使えば、目標達成までを可視化できるので、どのフェーズでユーザーが大きく離れていくかが見えやすく、課題発見の参考として役に立ちます。

課題解決のための施策を決める時のポイント

次に施策を検討する時に大切なことについて。

前提として、「施策は実現可能である」ということが大切です。
例えば「購入回数が10回を超えると購入率がすごく上がる」ことがわかったとしても、購入回数を10回以上にする施策案が考えにくければ意味がありません。
実現が難しい施策にしかつながらないものは、分析に時間をかけることには意味がありません。

その上で、課題を解決するために、2つの方向性があると田実先生は言います。

①ユーザーとのコミュニケーションを変える
「どのセグメントのユーザーが、行動プロセスのどこにいるときに、
どのようなコミュニケーションをとるか」を考えること。

②サイト自体を変える
サイトのページ遷移構造や機能的な側面に着目し、
特定の個所で発生している課題を解決することや、
課題が生まれづらい構造に改善すること。

①では、細かく情報をセグメントした上で分析することが大切という意味です。
誰に届けるのか、何を届けるのか、タイミングはいつか、チャネルはどれかなど、ユーザーの心理状態を予測して、必要な情報を発信。コンバージョン行動に不安を感じているタイミング、迷いを感じているタイミングで効果的なコンテンツを発信できれば、強い魅力を感じてもらえるようになります。

②のサイト改善のアプローチとしては、
「回遊性の向上」と「離脱の減少」という2つの軸で具体的な手法の紹介がありました。
課題発見から施策の実施、効果検証まで、CVを最適化する方法についてロジカルに理解できる内容でした。

コンバージョン率の改善に効くマイクロコピー

セミナーの最後には、CVR改善に効くマイクロコピーのお話もありました。

マイクロコピーとは、ユーザーインターフェース(特にボタン、入力フォームなど)に添える、ごく短い文字や文章のこと。工夫次第でコンバージョン率が1.2〜1.5倍になるケースもあるようです。

マイクロコピーの歴史はまだ10年ほどのようですが、欧米をはじめマーケティングの感度が高い企業のウェブサイトで活用されているとのこと。
マイクロコピーが注目されるようになった背景には、科学的な広告のA/Bテストの普及があり、わずか数文字の表記の違いが、ウェブサービスの利用者を増やしたり、売上げを大きく改善させたりすることがわかってきたようです。

たとえば、ある企業の見積りをシミュレーションできるリンクボタンのそばに、「今すぐ計算する」と「1分で計算する」をテストした結果、「1分で計算する」の方が16%もコンバージョン率が高かったとのこと。他にも、セミナー参加を促すサイトのリンクボタンに、「席を確保する」とだけ記載したボタンより、「席を確保する」の近くに小さな文字で「セミナーには30日間の返金保証が付いています」と注釈を入れた方が、コンバージョン率が高くなったとのこと。

驚いたのは「資料を無料ダウンロード」と「無料で資料をダウンロード」の違い。「無料」という言葉の位置を前に持ってきた方が、コンバージョン数が1.5倍になったとのこと。
また、「1か月0円」という表現より「31日間0円」という表現の方が、心理的にお得感が強くなった例なども印象的でした。

その他にも、実際のバナー広告などの事例をもとに、改善ポイントとどのくらい改善されたのかなどクイズ形式で楽しくセミナーは進行しました。
また正しいA/Bテストの方法など、実践的な内容もあり、具体的なコンバージョンアップの手法と理論を両輪で学ぶことができ有意義な内容でした。

次回は「ChatGPTとマーケティング」に関連する内容の予定です。お楽しみに!

<田実先生のプロフィール>
田実 日出翁(たじつ ひでお)
ウェブ解析士マスター。総合広告代理店で約30年もマスマーケティングとWebマーケティングのプランナーとして従事し、2018年ウェブアクセル合同会社を創業。マスとWebの両方に通じているマーケティングプランナーとして、「お客様の成果にコミットする」をモットーに、戦略立案から制作・運用・解析、人材育成まで幅広く活動。大手広告代理店や大手新聞社など、数多くの企業でセミナー講師を務めている。ノース・ヒル顧問。

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